図1と図2で肝左葉と右葉の造影効果に差があるのは,左葉の門脈は開存しているが,右葉の門脈は閉塞して(図3と図4:↑),動脈が代償性に拡張し動脈の血流量が増えている現象である.図3〜図7で一部の門脈は造影され(白矢印),その血流は左葉へ流れ,門脈の背側は血栓で閉塞し右葉門脈へ続く(↑).図8から尾側末梢は血栓で完全閉塞しているので(↑)左葉門脈の血流は側副路から供給されたものであろう.壁肥厚した小腸群があり(図13〜図19:△),血管の怒張があり(図16〜図18:▲),小腸の循環障害の像を呈している.Heparinを投与し経過観察としたが腹部所見が悪化し手術となった.図Aが術中写真,約80cmの回腸が出血性壊死となっており,切除し端端吻合した.術後は順調に経過した.
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