上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ27 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 131】

門脈・上腸間膜静脈血栓症.Portal・SMV thrombosis








図1と図2で肝左葉と右葉の造影効果に差があるのは,左葉の門脈は開存しているが,右葉の門脈は閉塞して(図3と図4:↑),動脈が代償性に拡張し動脈の血流量が増えている現象である.図3〜図7で一部の門脈は造影され(白矢印),その血流は左葉へ流れ,門脈の背側は血栓で閉塞し右葉門脈へ続く(↑).図8から尾側末梢は血栓で完全閉塞しているので(↑)左葉門脈の血流は側副路から供給されたものであろう.壁肥厚した小腸群があり(図13〜図19:△),血管の怒張があり(図16〜図18:▲),小腸の循環障害の像を呈している.Heparinを投与し経過観察としたが腹部所見が悪化し手術となった.図Aが術中写真,約80cmの回腸が出血性壊死となっており,切除し端端吻合した.術後は順調に経過した.












参考症例(SMV血栓症):64歳男性.肝硬変と食道静脈瘤の治療歴がある.前日上腹部痛が出現し上部内視鏡検査を受けたが,痛みの原因となる病変は発見されなかった.当日になって腹痛が増強し来院.体温:37.1℃,心窩部と下腹部に圧痛があるが軟.
図2〜図6で門脈の部分閉塞(白矢印)を,図7から尾側はSMVの完全閉塞(↑)を示している.図13〜図16では一部小腸が壁肥厚を呈し(△)循環障害を示唆する.ヘパリン投与を開始したが数時間後に腹膜刺激症状を示したので手術となった.SMVに血栓を認め,約200cmの小腸が出血性壊死に陥っていた.
















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ16 【症例 EE 76 ,77】

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