図1で△は腸管外に漏出した造影剤であり,↑間の胃小弯は開大し,伸展性に乏しく悪性腫瘍を示唆する.▲は胃角部の潰瘍で,↑間の胃癌の穿孔の可能性が高い.図3〜図5,図7〜図14の白矢印は遊離ガスで,図8と図9の▲は壁欠損像を示している.図7〜図13で胃体部から前庭部前壁が壁肥厚を呈している(↑)が,軽度の造影効果を示し粘膜下浮腫ではなく,腫瘍性病変を考慮すべきである.従って,胃癌の穿孔と診断する.十二指腸潰瘍の既往があること,図1で△は十二指腸から露出したものと解釈され,遊離腹腔内に広がらない,腹水を認めないことで保存的に治療された.結果的には胃癌の穿孔であるにもかかわらず症状は改善し,2週間後の内視鏡検査と生検でBorr.3型の胃癌と診断された.図Aが切除標本で,↑が癌病変.
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