上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ6 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 28】

絞扼性小腸閉塞・腸管壊死.Strangulated obstruction with necrosis












結腸の拡張はなく小腸だけの拡張だから小腸閉塞である.左側腹部(図4〜図6)と,図25の骨盤腔内に大量の腹水がある(※).図9〜図12の▲は腸間膜の浮腫(不均一で境界不鮮明なlow density)というよりさらに進行した腸間膜間の液貯留(均一で境界鮮明なlow density)であり,図9と図10の↑は血管(おそらく静脈)の怒脹を示す.拡張した小腸の壁に注目すると,全体的に造影効果は低下しているが,図13〜図16の30〜36の腸管壁は一見造影効果があるように見える.しかし,その下段の図17〜図20の単純CTで既に壁も内容物(おそらく血性腸液)も高濃度を示しており(△)出血性壊死を強く示唆する.closed loopの証明ができれば絞扼性小腸閉塞の診断となるので図22の1とAから追跡すると図12のGと37の同部位で閉塞し,図10と図11に虚脱した小腸(SB)がありclosed loopと診断できる.腹痛が増強したため手術となり,血性腹水と黒色に変色した壊死腸管を認めた.小腸腸間膜どうしの癒着により内ヘルニア様にclosed loopを形成し,約80cm長の空腸が絞扼されていた.腹水のCT値30HU以上は血性腹水といわれるので腹水の存在に気づけば常にdensityを計測することをお勧めする.腹水が血性と判断されれば腸管の出血性壊死の診断はさらに容易になる.













  【参照症例】   1. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)10 【症例 GR 48〜50】

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