図2と図3のGは腹腔内遊離ガスである.図6〜図8で横隔膜の一部(↑)が描出されており,その内側のガス(G)は遊離ガスである.図6と図7の△は肝鎌状靱帯だからその周辺のガスも遊離ガスと理解できる.図5〜図8の肝周囲の液貯留(※)は図7と図8で横隔膜(↑)外だから腹水ではなく胸水である.大量の腹腔内遊離ガスを認めたので試験開腹手術を行った.腹腔内臓器損傷は全くなく,左側横隔膜に1cm大の刺創(図A:▲)を認めるのみであった.左側の胸腔穿刺で薄い血性胸水を認めたが気胸はないので肺損傷はないものと判断した.術後は合併症なく順調に経過し20日で退院した.横隔膜に欠損があると吸気時の陰圧が直接腹腔内に及び腹壁刺創部から空気が吸引され大量の腹腔内遊離ガスが発生したと思われたが,気胸がないのは不自然である.
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