上段のCTで胃と十二指腸をはじめ全腸管に大量の血液または血腫が充満しており,図13の扁平化したIVCは重度のhypovolemiaを意味する.「瘤」の定義は「正常血管の1.5倍以上」だから,上段の造影CT図14の腹部大動脈(△)が正常血管で,図22〜図31の大動脈(A)は腹部大動脈瘤である.上段の図21〜図24の↑は上部空腸内のextravasationで,下段の図29〜図32では十二指腸内のextravasation(↑)を示しており,出血部位は最も大動脈瘤に近い図24の▲(十二指腸空腸移行部の空腸)であろう.従って,腹部大動脈瘤空腸瘻(Aortojejunal fistula)からの大量出血との診断となる.再手術で同所見が確認され腹部大動脈空腸瘻を離断し瘻を閉鎖したが,ショック状態から離脱できず死亡した.初回胃カメラ検査で出血部位を発見できなければCT検査の適応である.単純とDouble phase造影CTが望ましい.
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