上段のCTで急性膵炎を示唆する膵腫大,周囲脂肪組織の濃度上昇や液貯留を認めず,造影効果も脾臓よりやや減弱しているが良好で急性膵炎の診断には否定的である.遊離ガスを認めないが,図18〜図20で骨盤腔内の腹水(△)は,もし消化性潰瘍があればその穿孔を意味する.胃には急性病変を示唆する粘膜下浮腫を認めず,図8〜図11で十二指腸球部の粘膜下浮腫(▲)と,図9〜図11の両側に粘膜下浮腫を伴う前壁の壁欠損像(↑)は十二指腸潰瘍である.
下段の再来院時(5日後)のCTでも十二指腸球部に粘膜下浮腫(▲)と潰瘍(↑)が示され,腹水(△)が増加しており十二指腸潰瘍の穿孔と診断する.一度穿孔部位が被覆され症状が改善したものが再度穿孔を起こしたのであろう.今回も急性膵炎として保存的に治療され順調に経過したが,第4病日の胃カメラ検査で十二指腸球部前壁にA2潰瘍(図A:白矢印)が確認された.
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