図AのTcと図2のTcは横行結腸であり,Chilaiditi症候群を形成している(前回のILE83参照).図Aのガスで拡張した腸管(▲)は典型的なcoffee bean signを呈し,S状結腸が※の部位で捻転している可能性が高いが果たしてCTではどうか? 最下段の 図20の糞便が充満している直腸はS状結腸捻転を否定する所見である(S状結腸捻転では直腸が虚脱している場合が圧倒的に多い).図19から頭側へ追跡すると拡張したまま上行し図4の17となり,図5のAから下行するS状結腸となる.閉塞部位を認めないのでS状結腸捻転は否定されOgilvie症候群(ACPO=Acute Colonic Pseudo-Obstruction,急性結腸偽性閉塞症)と診断された.摘便とガス抜きで腹部膨満が消失した.血中Kが3.1mEq/l と低値を示し低カリウム血症がOgilvie症候群と下肢筋力低下の原因と思われた.
|