腸閉塞・イレウス特集(obstruction+ileus)6 EXPERT COURSE 解答 【症例 ILE 29】

絞扼性小腸閉塞(壊死なし).Strangulated obstruction of small bowel with no necrosis








図5〜図8で右側結腸(△)は虚脱,または普通便を含むので,拡張した小腸は機械的閉塞の可能性が高い.ガストログラフィンを投与されているので腸管内腔が造影されているのは単純性閉塞を意味し,図6〜図18の数字とアルファベットが記されている,ガストログラフィンを含まない腸管は,gaslessとはいえなくても,また腹水や腸間膜の濃度上昇の有無に関係なく,絞扼されてclosed loopを形成しているのではと容易に気がつく.図18から追跡するとAは図11のHで,1は同図の18で閉塞する.図10と図11の↑が閉塞部位で,図11と図12で虚脱した肛門側の小腸(SB)を確認でき,図9の丸数字1と図8の丸数字2が口側の単純性閉塞の起始部であろう.下記参照症例でも述べたように,ガストログラフィン投与後のCTは絞扼性小腸閉塞の診断に極めて有用であるので,ぜひ実行していただきたい.













せっかく最善の方法でCT撮影されたが,正確に診断されず経過観察が継続された.下段は4日後のCTであるが,絞扼されてclosed loopを形成しているはずの小腸に4日前に投与した造影剤(※)を認め,理解しがたい所見であるが,手術でその理由が解明される.索状物(band)により約20cmの回腸が絞扼されclosed loopを形成していたが,腸管の虚血所見を認めない緩やかな絞扼であり,索状物切離だけを施行した.絞扼性小腸閉塞が4日も経過したのに腸管壊死を認めないまれな症例である.




  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ4 【症例 EE 16】

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