図5〜図8は省略.図17〜図21の↑と図21の白矢印が刺創路から脱出した小腸.図1〜図4で肝臓と脾臓周囲に,図21〜図24では下腹部に高濃度の腹水(※:血液または血腫)を認める.図15〜図23の▲は周囲に血腫を伴い,腸間膜が出血源であることを示すextravasationである.図9〜図17の△も周囲(後腹膜腔)に大量の血腫を伴うのでextravasationである.少なくとも2箇所で活動性に出血しているので来院時に80mmHg台の低血圧を示し,図4でIVCも虚脱している.図23と図24で遊離ガス(G)を認めるが,消化管穿孔の診断は不可能である.大動脈閉塞用バルーン・カテーテルを大腿動脈から挿入,胸部で遮断し手術室へ搬送した.手術所見.1:気管損傷(2cm),2:出血を伴う小腸間膜損傷(数ヶ所),3:小腸穿孔(4ヶ所),4:左尿管切断(→外瘻化),5:大量出血を伴う左腰動脈断裂.腰動脈からの出血を処理中に明らかな出血傾向を認めたのでガーゼパッキングし,damage control surgery(図B)に切り替えたが,総出血量は1万1000mlに達した.2日後にガーゼ除去と尿管端々吻合術を行い,6週間で無事退院した.
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