図Aで胃泡が明らかに挙上して,縦隔が右方へ偏位しているので左横隔膜へルニアを疑うが,22年前に胸部写真で異常を指摘されているので横隔膜弛緩症と鑑別する必要がある.8ヶ月後の胸部写真(図B)で胃泡が上方へ移動し,縦隔の偏位も進行している.胃透視と注腸造影で横隔膜へルニアの診断が確定する.図Cの胃透視で↑がcollar sign(TR51の文献参照)を示し,ヘルニア門(横隔膜破裂部)である.食道胃接合部(図C:白矢印)以外の胃全体が胸郭内に脱出し,胃捻転を起こしている.図Dと図Eの注腸造影でも↑がcollar signを示しヘルニア門であり,横行結腸と下行結腸の大部分が胸郭内に脱出しており,遅発性左横隔膜ヘルニアである.
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