右側結腸は液状内容物を含まないので拡張した小腸は小腸閉塞を意味する.図1で腹水(※)を認め,gaslessの腸管があり,図6〜図8で腸間膜の強い濃度上昇(▲)を示しており,壁の造影効果が減弱しているグループの絞扼性小腸閉塞の可能性が極めて高い.まず容易に追跡できる小腸から始めるのも1つの“コツ”である.図15のabは図のごとくaとbと分かれて上行する.図14のcdも,図4のefとghも同様に上行する.すると主に液状内容物で拡張した小腸が残る.Closed loopの証明はできないが,壁の造影効果が明らかに減弱しており,図5と図6,図9,図11と図12の△は壁内気腫を示し,それは壊死に陥った,または高度の虚血状態を強く示唆すること,さらに図11の丸数字1〜図2の丸数字10が単純閉塞の腸管と解釈でき,絞扼性小腸閉塞であろうと診断する.熱はなく,白血球数:6200,CRP:0.04mg/dlと低値を示し,腹部所見でも腹膜刺激症状は認めないが,正確にCT診断され手術となった.約50cm長の回腸が索状物で絞扼され,壊死に陥っていた(図A).
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