下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 12 RESIDENT COURSE 解答 【症例 LR 60】

宿便性結腸閉塞.fecal impaction






図1で上行結腸(A)が拡張し,下行結腸(D)が液状内容物を含むのは異常である.閉塞がないか図2の1から肛門側へ追跡すると,数字順になるが,S状結腸と直腸に大量の糞便が充満している以外に病変はない.すなわち,宿便性閉塞(fecal impaction)である.下部結腸の穿孔を除外するためガストログラフィンによる注腸造影を行ったが,穿孔所見はなかった.その後大量の排便があり治癒した.







参考症例(糞塊による閉塞):74歳男性.2日前に下痢があり,前日からは排便がない.便意はあるが排便なく,下腹部痛が出現した.熱はない.左下腹部に軽度の圧痛を認める.





図1の腹部単純写真は糞塊による閉塞(▲)を示唆する所見である.横行結腸(TC)と下行結腸(DC)がガスで拡張気味な原因は図8〜図11の糞塊(↑)であり,その肛門側は図11のA〜図13のUの虚脱したS状結腸となる.下剤服用で2日後に大きな便塊の排出があり症状が消失した.4日後の大腸ファイバー検査で,糞塊の嵌頓部位に発赤と粘膜下血腫を認めた.









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