下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 12 EXPERT COURSE 解答 【症例 LE 59】

線維性瘢痕によるS状結腸閉塞.sigmoid obstruction with severe fibrosis




拡張した腸管を追跡するまでもなく,図17〜図19の↑でcaliber changeを認め,そこが閉塞部位で,閉塞の原因病変である.造影効果に不整はなく,辺縁も平滑で,曲がり方にも硬さを感じさせないので,完全否定は出来ないが悪性腫瘍の可能性は低い.翌日腹痛が増強したので手術となり,病変部を切除したら原因不明の線維性瘢痕によるS状結腸閉塞 であった.病理:severe fibrosis of sigmoid colon,no malignancy.




参考症例(餅による狭窄部閉塞):71歳男性.10年前下行結腸癌で左側結腸切除術を受けた.朝食に餅を食べ,昼食後に間欠的な腹痛が出現し,数回嘔吐した.熱はなく,腹部は膨満しているが圧痛などの所見はない.
拡張した上行結腸,横行結腸と虚脱した下行結腸との移行部は図4の↑の部位だが,高濃度の↑は餅であろう.周辺に腫瘍性病変を示唆する所見はない.その後の注腸造影で良性の吻合部狭窄を認め(図A:▲),大腸ファイバー検査でも悪性所見を認めなかった.






  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 6 【症例 LR 30】

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