下段の図13で上行結腸(AC)も下行結腸(DC)も液状内容物で充満しているのは,大腸ファイバー検査の前処置のために飲んだ腸管洗浄液と思われるが,大量に貯留しているのは閉塞疾患があることを示唆する.図14の1から追跡すると,図10の23で閉塞し,図11と図12の腫瘤(↑)が原因疾患であろう.造影CTではないので腫瘤の性状は不明だが不整な内部構造を示し,悪性腫瘍の可能性がある.その肛門側は図13のAから図23のLのS状結腸直腸移行部となる.図10〜図13の▲は壁内気腫であり,腸管壁の虚血状態を示唆する.図3と図4でIVCが虚脱しているのは高度の脱水を意味し,それが腸管の虚血状態に寄与しているものと思われる.入院後まもなくして大量の排便があり症状は消失した.手術および病理所見:S状結腸癌.moderately differentiated adenocarcinoma(図A:△).
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