下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 11 RESIDENT COURSE 解答 【症例 LR 52】

穿孔性虫垂炎・膿瘍形成.perforated appendicitis with abscess formation







図2で上行結腸(AC)も下行結腸(DC)もガスと液状内容物を含み,下行結腸は図6で虚脱するが明白な閉塞性病変を認めないので,拡張した腸管は麻痺性イレウスを意味する.骨盤腔内の病変を検索するには,まず膀胱はどれか同定しておく必要がある.図24〜図16のUB(urinary bladder)が膀胱だが,右後方から左上へ圧排されている.その原因である嚢胞状病変AとBは上下で盲端となり,壁は強く造影され,water densityの内容物を含み膿瘍を強く疑う.次に図9で糞石を含む管状構造物(↑)に気がつけば,上下に追跡し,図6の1の虫垂根部から数字順に展開し,図4〜図8の↑が腫大した虫垂の末梢側である.従って,虫垂炎穿孔による膿瘍形成と診断する.R:直腸.手術で悪臭のある約300mlの膿が吸引され,穿孔性虫垂炎を認めた.















参考症例(8mmスライス,急性虫垂炎穿孔による膿瘍):11歳男児.3日前に嘔吐が,2日前に下腹部痛と下痢が出現した.前日に発熱が加わり近医受診,胃腸炎として点滴と鎮痛剤などで治療されたが,当日になっても症状が改善しないため紹介来院した.体温:37.3℃,下腹部に圧痛と反跳痛があるが,softで筋性防御は認めない.
図2〜図8の,液状内容物とガスを含む嚢胞性病変Aは,強く造影される壁を有し,周囲脂肪組織の濃度上昇を伴い(▲),上下で盲端になるから膿瘍である.図1〜図5の↑は穿孔したために虚脱した虫垂であろう.1週間の抗生物質投与で治癒した.









  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ17 【症例 RR 81〜83】

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