下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 11 RESIDENT COURSE 解答 【症例 LR 51】

急性虫垂炎.acute appendicitis








図2の1は虫垂根部に嵌頓した結石を認め,図3と図4の2,3,と4は2cm大に腫大し,図2〜図4で脂肪組織の濃度上昇(△)もあるので急性虫垂炎と診断するが,2と3の内容物はまだ液化していない糞塊であり,壁の肥厚はなく,造影効果も強くないのでかなり早期の急性虫垂炎であろう.経過観察中に症状が消失したのは,図2の1の糞石が盲腸内へ排出され,閉塞が解除されて自然治癒したものと解釈する.下段の5日後のCTでは,虫垂(図12の1〜図15の12 )の壁は肥厚を示し,さらに強く造影され,完成した急性虫垂炎である.手術で,虫垂根部(図A:↑)が硬く触れ,腫瘍の可能性を否定できないので回盲部切除が行われた.病理:phlegmonous appendicitis.no malignancy.








参考症例(急性虫垂炎):37歳男性.36時間前からの,次第に増強する下腹部痛のため来院した.体温:36.8℃,下腹部正中よりやや右側に限局性の圧痛と反跳痛を認める.
回腸末端(TI)は図2から始まる.図6の1が虫垂根部で,図の数字順に展開し,図2の5から腫大し始め図11の14で盲端になるのが虫垂である.図4の7は1cm近くに腫大し,壁の造影効果を認め,先端部の図8の11〜図11の14は周囲脂肪組織の濃度上昇を示し,急性虫垂炎である.切除標本の図Aで↑を境に,▲は虫垂根部側で,腫大のない図6の1〜図3の4に相当し,△の先端側は腫大した図2の5〜図11の14に相当し,いわゆるdistal appendicitisである.













  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 4 【症例 LR 20】

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