文献考察1):膵十二指腸動脈瘤(pancreaticoduodenal artery aneurysm)58例の集計(表1,表2).平均年齢は48歳,男性に多く,fibromuscular dysplasiaによるものは2%のみ.
Ann Vasc Surg. 1996 Sep;10(5):506-15. Uncommon splanchnic artery aneurysms: pancreaticoduodenal, gastroduodenal, superior mesenteric, inferior mesenteric, and colic.
Shanley CJ, Shah NL, Messina LM. PMID: 8905073
文献考察2):Abdominal Apoplexy(腹部卒中) 胃特発性abdominal apoplexyの1例
Author:伊東功(東海大学医学部附属大磯病院 外科), 向井正哉, 向山小百合, 田島隆行, 中崎久雄, 幕内博康
Source:日本臨床外科学会雑誌(1345-2843)64巻12号 Page3048-3051(2003.12)
Abstract:69歳男.主訴は突然の臍周囲の激痛.血圧は60mmHgとショック状態で,軽度の貧血と著明な腹膜刺激症状が認められた.腹部CT検査上,腹腔内出血と胃体部後壁に壁外に突出する腫瘤が認められた.上腸間膜動脈閉塞症や絞扼性イレウスの可能性も否定できず,緊急手術を施行した.開腹時,腹腔内に約800gの血液及び凝血塊の貯留が認められたが,出血源は確認できなかった.胃後壁にテニスボール大の腫瘤を触知したため,網嚢腔を開放すると,GISTを疑わせる直径約6cm大の粘膜下腫瘍様の腫瘤が腹腔内に穿破したような所見が認められたため,この部分を全層で楔状胃部分切除術を施行した.組織学的には嚢胞状の病変は漿膜下に位置しており,肥厚した繊維瘢痕組織と部分的に器質化した血餅に覆われていた.嚢胞内は血腫で充満されており,明らかな腫瘍細胞や露出血管は認められず,器質化した動脈瘤と考えられた.術後合併症は認めず,第7病日より経口摂取開始後,経過は良好で術後17病日に軽快退院となった. 要旨:Abdominal apoplexyは, 突発性の腹腔内の血管性病変による大量の腹腔内出血, 梗塞などの症状の総称である. 広義には外傷, 子宮外妊娠や肝癌などの破裂も含まれるが, 狭義には原因不明の腹腔内出血または腹腔内の動脈瘤, 静脈瘤などの血管性病変の総称である. 腹部の2次あるいは3次動脈の破綻による出血がほとんどで, 原因として限局性の動静脈奇形, 動脈瘤の形成や動脈壁の脆弱化があげられているが, 原因不明の場合も多い.
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