文献考察:閉鎖孔ヘルニア
1)Losanoff JE, Richman BW, Jones JW. Obturator hernia.
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2)Skandalakis LJ, Androulakis J, Colborn GL, Skandalakis JE. Obturator hernia. Embryology, anatomy, and surgical applications.
Surg Clin North Am. 2000 Feb;80(1):71-84.
要旨:閉鎖孔(obturator foramen)は骨盤腔の坐骨,恥骨と腸骨に囲まれる三角形の空隙をいい,その空隙は骨盤腹膜,内閉鎖筋と外閉鎖筋で閉じられている.閉鎖孔の外上方には閉鎖神経と閉鎖動静脈が通過する閉鎖孔obturator canalがあり,そこを門として閉鎖管内へ脱出するヘルニアが閉鎖孔ヘルニアobturator herniaである.閉鎖神経の知覚枝は大腿内側,膝と股関節部に分布する.ヘルニアは大腿深部に突出するので腫瘤として認識されることはなく触知されない.閉鎖神経の知覚枝が圧迫され,膝から大腿内側や股関節部に痛みを生ずる.大腿を後方へ伸展,外転または内側への回旋させると疼痛が増強する.これをHowship-Romberg signといい,25〜50%にみられる.高齢の,痩せた女性に多く,”The skinny old lady hernia”と呼ばれる.
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