上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ28 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 139】

回腸Crohn病.Crohn disease of ileum








図5の1から拡張した小腸を追跡すると,図11〜図14で造影効果のある壁肥厚を呈する第1の狭窄病変があり,さらに拡張した小腸は,図16の21で完全閉塞する.閉塞の責任病変は図15〜図18の造影効果がやや強い第2病変▲(臍を中心に右上から左下への斜線を境に空腸は左上に,回腸は右下に位置する傾向があるので,おそらく回腸)である.D:下行結腸,S:S状結腸,R:直腸.2つの各々の病変は腫瘍性に見えなくもないが,スキップしていること,31歳という年令,2年前から下痢があることを考慮すると,Crohn病との診断となる.手術で,狭窄をきたした第1病変(図Aと図B:↑)と,完全閉塞を呈する第2病変(▲)を認めた.病理検査でCrohn病と診断された.











参考症例(回腸Crohn病):47歳男性.15年前からアトピー性皮膚炎,10年前から時々下痢がある .前日より次第に増強する上腹部痛のため来院した.体温:38.0℃,臍周囲に圧痛,反跳痛と筋性防御を認める.
結腸は虚脱し,拡張しているのはすべて小腸である.骨盤腔内のは“小腸内糞便”を含み,閉塞部位またはその近辺を示唆することが多いので図12から追跡すると,丸数字は頭側へ進展する.図12の1は図6の7となり閉塞し,そこから図3の10は粘膜下浮腫による壁肥厚を呈し,図4の11〜図7の14は造影効果の強い壁肥厚を示し回腸末端(TI)へと連続する.造影効果の強い壁肥厚は慢性炎症性病変,粘膜下浮腫は急性増悪と解釈すれば,閉塞の原因はなんらかの慢性炎症性疾患の急性増悪と推測する.手術となり,回腸の閉塞部位を切除した.病理:縦走潰瘍を認め,Crohn病 compatible.













  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ6 【症例 RR 28】
2. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ7 【症例 RE 31】

 【 ←前の問題 】   【 次の問題→ 】  【 このシリーズの問題一覧に戻る 】 【 演習問題一覧に戻る 】