上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ28 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 140】

感染性膵壊死.Infected pancreatic necrosis








上段のCTで,膵尾部(T)は造影効果を受けviableであるが,体部と頭部は全く造影されず(↑),壊死に陥っている.図9〜図12は省略.下段のCTで,胃背側のガスを含む液貯留(▲)は,膵壊死部の膿瘍,すなわち感染性膵壊死( Infected pancreatic necrosis )を強く示唆する.膵尾部(T)は造影効果を認め,上記所見と一致する.図5の△は脂肪組織である.Du:十二指腸.経皮的ドレナージが施行され,悪臭のある膿が少量排出されただけで,発熱と頻脈が続き手術となった.膵体部と頭部壊死組織のdebridementと広範囲のドレナージを行い治癒した.感染性膵壊死は手術の適応であり,経皮的ドレナージでは膵壊死組織や脂肪壊死組織の除去は不可能である.膿培養からCitrobacter freundiiが検出された.












参考症例(感染性膵壊死・膵膿瘍.Infected pancreatic necrosis・pancreatic abscess):75歳女性.6年前に急性膵炎で入院した既往歴がある.前日からの上腹部痛と嘔吐のため来院,図1〜図4は第2病日のCT,図5〜図12は19日目のCTで,39度台の高熱が続いている.
図2と図3で膵体部の一部が造影されず(↑)壊死に陥っている.19日目のCTで,1,2と3の3個の嚢胞性病変がある.それらが感染を起こしているとすれば,図5〜図7のTは残存した膵尾部で,図7〜図9のHが頭部だから,1は膵壊死部と一致し感染性膵壊死であり,2と3は膵周囲の液貯留の感染で膵膿瘍である. 膵膿瘍2をドレナージしたが解熱せず手術となり,感染性膵壊死(1)と膵膿瘍(2と3)を認めた.ガスを含まない膿瘍の診断にはFNA(Fine Needle Aspiration)が不可欠である(下記参照症例の解説を参照).












  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ11 【症例 ER 53】

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