図４〜図８で膵石（↑）または膵頭部の石灰化（白矢印）を認め，図３〜図６で膵管の拡張を示し（△），周囲脂肪組織の濃度上昇（▲）を呈しているので，典型的な慢性膵炎の急性増悪である．診断基準は下記参照症例の解説を参照．

参考症例（Plain CT，慢性膵炎？ 胆石嵌頓．AGML）： 89歳女性．前日に左肩痛が出現し，当日心窩部痛と嘔吐があり来院した．体温：36.6℃，心窩部に圧痛がある．
図３と図４の↑は石灰化した脾動脈であるが，膵臓の石灰化と誤診され，慢性膵炎の診断で入院した．膵臓（T：尾部，B：体部，H：頭部）に異常所見や，周囲に液貯留や脂肪組織の濃度上昇を認めない．大動脈も石灰化を示し，SMA（▲）は強度の石灰化で慢性的な閉塞をきたしていると思われる．図４で胆石を認め，胆嚢（GB）がやや腫大しており，図３と図４では胃前庭部が壁肥厚を示し（△），胆石発作かAGML，または両者が心窩部痛と嘔吐の原因であろう．