上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ28 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 138】

肝内・総胆管結石.Intrahepatic biliary stone・CBD stone(choledocholithiasis)



図1と図2で肝内胆管を肝臓辺縁近くで認識でき(△),図3で肝門部胆管が1cm以上に拡張を示し(白矢印),総胆管尾側での閉塞を意味する.図4〜図8の↑は総胆管内結石で,5スライスに及ぶので複数の結石を意味する.図2〜図6で膵臓(T:尾部,B:体部.H:頭部)の腫大はなく,周囲に液貯留や脂肪組織の濃度上昇を認めず膵炎の合併はない.見落としてはいけないのが図2と図3の肝右葉の肝内結石(▲)である.Du:十二指腸,GB:胆嚢.図Aは,肝内結石を見落としたため,PTBDからの総胆管だけの造影だが,複数の結石を認める(↑).







参考症例.(Plain CT,肝内結石? 腸炎): 39歳男性.数時間前からの上腹部痛のため来院した.下痢や嘔吐はない.体温:37.2℃,腹部はsoft and flatで所見なし.
図2と図3の↑が肝内結石と診断されたが,周囲や末梢側に拡張した胆管を認めないので肝内結石ではなく,肝実質の石灰化と解釈すべきである.上腹部痛の原因は,結腸(図7〜図16のA:上行結腸,T:横行結腸,D:下行結腸)が粘膜下浮腫を示しており,腸炎である.入院後4回の水様性下痢が出現した.
















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ9 【症例 ER 44】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ9 【症例 EE 44】
3. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ10 【症例 EE 46】

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