上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ28 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 137】

先天性胆道拡張症.Congenital biliary dilatation






図7から始まり,図15で盲端になるGBが,前腹壁側に位置し胆嚢であろう.図3〜図9の↑は膵頭部に接するので拡張した総胆管と判断し,診断は先天性胆道拡張症( Congenital biliary dilatation,総胆管嚢腫:choledochal cyst )である.肝内胆管の拡張はない.図7〜図8の▲は正常の総胆管だから,戸谷分類のIa か Ibであろう.図AはMRCPで,△が拡張した総胆管.手術で同所見が確認され,胆嚢と総胆管を切除し(図B:白矢印が拡張した総胆管),胆管空腸吻合術を行った.











参考症例(Plain CT,5mmスライス,先天性胆道拡張症):57歳女性.前日に上腹部痛が出現し,当日になっても軽減せず頻回に嘔吐するようになった.体温:35.9℃,心窩部に圧痛を認める.
図4〜図14のGBは前方に位置し胆嚢で,図2〜図14の↑は十二指腸の内側,膵頭部の右側に位置し拡張した総胆管である.図15と図16の十二指腸への開口部で腫瘍性病変や結石を認めず,図5で最大径4cmに拡張しており,先天性胆道拡張症の可能性が高い.図17はDIC(Drip Infusion cholangiography:経静脈的胆道造影) CTで,肝内胆管の拡張(▲)を伴いIVa 型である(下記症例の文献考察を参照).図AのERCPで膵管内に蛋白栓を認め,膵管はやや拡張している.図BはPTBDからの造影で,先天性胆道拡張症の確定診断となった.△が膵管起始部で合流異常を示す.



















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ10 【症例 ER 48】

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