図1は典型的な“coffee bean sign”(↑,“bent inner tube”,“omega loop sign”)または“Freeman-Dahl sign”(図C:S状結腸loopの腸管壁が下方に,正中線より左方の1点▲に収束し,そこが捻転部位である)を呈しているのでS状結腸捻転の可能性は極めて高い.CTで確定診断が可能である.図1のcoffee bean signの頭頂部は図2のA1であり,図2のBと2から尾側へ追跡する.図2の2は図16の15でUターンし,図9の22で左方向へbeak signを呈し(▲)閉塞する.他方のBは図11のJでbeak signを呈し(▲)図15のNで閉塞するから,A〜Nと1〜22はclosed loopを形成しており,図9〜図11で閉塞する.図2の下行結腸D1は図9のD8でbeak signを呈し(▲),閉塞してから22と連続し,図12のD11で盲端になる.図17の直腸R1は上行し図11のR6でbeak signを呈し(▲),閉塞してclosed loopのJと連続する.直腸は虚脱しているのが特徴である.下行結腸と直腸がガスで拡張したclosed loopの腸管の閉塞部位に収束するのでclosed loopの腸管はS状結腸であり,S状結腸捻転(sigmoid volvulus)の診断がつく.ガスで過膨脹した腸管壁は薄くなり造影効果の判断はできない.大腸ファイバー検査(図A)でS状結腸に螺旋状に粘膜集中した閉塞があり(△),血性の便汁の流出(↑)を認めたので直ちに検査を中止し手術を行った.S状結腸は360度反時計方向に捻転し壊死に陥っており(図B),切除しHartmann手術を行った.カルテに直腸指診所見の記載はないが,肉眼的血便が認められれば,大腸ファイバーを施行せず手術すべきである.
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