上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ27 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 134】

SMA塞栓症.SMA embolism






SMAは図4から始まるが,図7から末梢が造影効果を失いSMA塞栓症である.図2〜図9の上部空腸(▲),下行結腸(D)と図12のS状結腸(S)以外の腸管壁は造影効果を認めないか,かなり減弱しており,壊死または高度の虚血状態である.正確にCT診断がなされず,翌日になって腹痛はさらに増強し,腹部刺激症状を示したので手術となった.SMAの拍動を触れず,Treitz靱帯から10cmの部位から横行結腸3/4が壊死または高度の虚血状態を示していた.10週間後に敗血症とDICのため死亡した.






参考症例(SMA塞栓症):70歳男性.数時間前に右季肋部痛が出現,次第に増強し下痢と下血も加わった.血圧:150/80mmHg,脈拍:112/分(不整なし),体温:36.4,腹部はsoft and flatで,右季肋部に軽度の圧痛を認める.








上段の単純CTで,図3〜図5でSMAが高濃度を示し(↑),新鮮な血腫を示唆する.下段の造影CTでは,図11からSMAが造影効果を失い(↑),起始部から3cmの部位だから塞栓症と思われる(血栓症は起始部で閉塞する場合が多い).図17〜図24で,下行結腸(D),▲の空腸と,図19までの上行結腸(A)は壁の造影効果を受けviableであるが,図20の上行結腸(A)から盲腸(C)と,▲以外の小腸は虚血状態と解釈する.TI:回腸末端.来院後数時間して血液ガスがアシドーシスを示したので手術となった.SMAの拍動を認めず,Treitz靱帯から20cmの部位から上行結腸が壊死または高度の虚血状態であった.心房細動や心疾患はなく原因不明のSMA塞栓症である.
















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ16 【症例 ER 76】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ16 【症例 ER 78〜80】

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