上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ27 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 133】

腹部大動脈瘤破裂.Ruptured AAA(Abdominal Aortic Aneurysm)












最大径8cm大の(図8)腹部大動脈瘤(A)があり,※は後腹膜内血腫を示し,腹部大動脈瘤破裂である.図9の白矢印が破裂部位で,図10〜図15の↑はextravasation(造影剤の血管外漏出)で,活動性の出血を意味する.図1のIVCは極端に扁平化し強い循環血液量不足である.しかし,血圧は60mmHg台で,拍動性の腫瘤を触知したら,腹部エコー検査で大動脈瘤と周囲の血腫を確認し即刻手術室へ搬送すべきである.外傷性腹腔内出血同様,ショックを呈するのは1000ml以上の出血を意味するので,腹部エコー検査で容易に大量の腹水や後腹膜血腫を検出できるのでCT検査は不要どころか,手術の時機を遅らせるだけで極めて危険である.













参考症例(腹部大動脈瘤切迫破裂):81歳男性.2日前上腹部痛と腹満感が出現した.当日になって腹痛が増強したので来院.血圧:168/96mmHg,脈拍:70/分,体温:35.9℃,臍上部に拍動性の腹部大動脈瘤を触れる.
図3〜図11の↑は腹部大動脈瘤であるが,図1と図13で腹水を認めず,瘤周囲に血腫もないので破裂はしていない.しかし,図4〜図6で,▲の外縁部の低濃度部分が瘤内の古い血腫で,やや高濃度を呈する※印部分は新鮮な血腫,すなわちcrescent sign(三日月徴候:下記症例参照)であり,他に腹痛の原因病変を認めなければ腹部大動脈瘤の切迫破裂と解釈すべきである













  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 9 【症例 LR 42】
2. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 5 【症例 LR 24】
3. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ3 【症例 RR 13】

 【 ←前の問題 】   【 次の問題→ 】  【 このシリーズの問題一覧に戻る 】 【 演習問題一覧に戻る 】