上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ26 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 130】

魚骨による膿瘍形成.Abscess formation by a fish bone



図2〜図7の▲はwater densityの内容物と壁の良好な造影効果から膿瘍の可能性が高い.図3と図4の↑は高濃度の線状陰影で,十二指腸内外にまたがる魚骨であろう.図8と図9では炎症性浮腫による十二指腸の壁肥厚(△)を示している.魚骨による十二指腸右側膿瘍と診断し,外来で経口抗生物質を投与したら,症状が改善し,治癒した.図3の白矢印は脾動脈の石灰化である.






下段の6ヶ月後(無症状)の単純CTで, 膿瘍は消失したが,図15と図16で線状陰影(↑)は残存しており,やはり魚骨と解釈すべきである.図14の白矢印は脾動脈の石灰化である.症状が消失して以来内視鏡検査を拒否しているので行っていない.





参考症例(Plain CT,食道・小腸内異物:ガラス破片):アルコール依存症の54歳男性.数時間前自殺目的にコップを割ってガラス破片を飲み込んだ.まもなくして心窩部痛が出現し来院した.熱はなく,心窩部に軽度の圧痛を認める.
図1の胸部写真ではガラス破片を認識できないが,胸部CTでは気管分岐部(図7:△)より口側に高濃度のガラス破片(↑)を認める.図9の腹部単純写真では白矢印がガラス破片で,腹部CTでは,図12〜図18の▲が小腸内ガラス破片である.図10で遊離ガスや腹水を認めない.内視鏡検査を拒否され,保存的に経過観察されたが,1週間後のCTでガラス破片は消失し合併症なく退院した.



















  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 5 【症例 LR 23】
2. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 5 【症例 LE 25】

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