文献考察:急性腎盂腎炎(acute pyelonephritis)
【腎泌尿器疾患のわかりやすい画像診断 正常画像と異常画像】 炎症性腎疾患の画像診断
Author:的場宗孝(金沢医科大学 放射線診断治療学), 東光太郎, 利波久雄
Source:腎と透析(0385-2156)59巻2号 Page288-294(2005.08) 要旨:腎盂腎炎は腎盂, 腎杯および腎実質の一般細菌感染症である。 尿路の基礎疾患の有無から, 基礎疾患のない急性単純性腎盂腎炎と,尿路異常のある慢性複雑性腎盂腎炎に大別され, 急性腎盂腎炎の多くは単純性である。 感染経路としては多くは上行性尿路感染で, 大腸菌によるものが大部分を占める。 細菌は腎盂からtublar systemを介し腎実質へ広がる。 そのため炎症は腎小葉単位で生じ, 腎乳頭先端から腎実質表面まで変化が及ぶ。 急性腎盂腎炎に対する超音波検査は, CTに比べsensitivityが低く, 異常所見を指摘できない場合が多いが, 重症例では腎腫大, 実質の浮腫性変化を反映した低エコー域が認められる。 時に, 実質の出血を反映した高エコー域が認められることもある。 一方CT, 特に造影CTでは急性腎盂腎炎は, 腎の腫大に加え, 皮髄相後期から実質相にかけての楔状の造影不良域として認められ, 排泄相においてもスジ状あるいは小楔状の造影不良域として認められる。 これは腎小葉の浮腫や炎症細胞浸潤, デブリによる虚血やtublar systemの閉塞による造影剤濃度の低下を反映した所見と考えられている。 さらに, 3時間以降に遅延後期相を追加撮影することにより, これらの造影不良域が逆に濃染していることがあり炎症巣の範囲を評価するうえで有効といわれている。その他, 急性腎盂腎炎では, Gerota's fasciaの肥厚, 腎周囲脂肪組織の濃度上昇がCTにて認められることが多い。
|