上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ25 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 123】

絞扼性小腸閉塞(壊死).Strangulated obstruction with necrosis








図1の大量の腹水(※)は,腸閉塞であれば絞扼性であることを強く示唆する.図2で結腸(AC:上行結腸,TC:横行結腸,DC:下行結腸)は固形便を含むだけで拡張を認めないので,ガスで拡張しているのは小腸であり,小腸閉塞の所見を示している.下腹部の拡張した小腸は,図2〜図4のガスだけで拡張した小腸と違い,相当量の液状内容物を含み,壁の造影効果も弱い.さらに,図13〜図15の△は壁内気腫の可能性があるので,closed loopを形成しているかどうか図17のAと1から追跡を始める.壁の造影効果を認めないので図16で48がAと連結するかどうかの判断が最も困難なところだが,図14の50,図13の51と図12の52へUターンすることを優先させると,図17でAはBへ進むことになる.図12のabは,aとb になり頭側へ上行する.結局,図11のLと53まで進展し同部位で閉塞するのでclosed loopを形成している.図11と図12に虚脱した小腸(SB)を認め,マークがついていない,主にガスで拡張した小腸が単純閉塞の小腸と解釈する.図12の▲は小腸abの壁で,図15と図16の白矢印は腸管壁ではなく,壊死腸管に接するために充血肥厚した腹膜である.図Aのごとく約80cmの回腸が索状物によりclosed loopを形成し絞扼され,完全壊死に陥っていた.













  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ7 【症例 EE 32,33】

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