図2で上行結腸(AC)と下行結腸(DC)に拡張はなく,拡張しているのは小腸だけだから小腸閉塞である.Gaslessではあるが,図1と最下段の骨盤腔内に腹水はなく,腸間膜の浮腫像を認めず,壁は良好な造影効果を受けているので単純閉塞の可能性が高い.図15〜図18の↑は小腸内糞便(small bowel feces)を示し,閉塞部を意味する場合が多い.図17のabはaとb となり頭側へ進展するので↑の小腸内糞便を含む小腸との連続性はなく,拡張した小腸(↑)は図18で閉塞する.小腸内糞便の頭側を図14の1から追跡すると,数字順に図2の31となる.図12のcとdは頭側へ上行する.つまり,図18の↑が唯一の閉塞部位であり,近辺にclosed loopを示す他の閉塞を認めないので単純閉塞である.腹部手術の既往はないからといって癒着性腸閉塞を否定できないが,食餌性イレウスの可能性を考慮する.イレウスチューブを挿入しても腹痛が軽減せず,第4病日に手術を施行した.盲腸から約90cmの部位でMeckel憩室を認め,憩室と口側回腸が粘土様の食物残渣で充満し閉塞を起こしていた.用手的に残渣を盲腸に送り出した(milking)後,憩室を切除した.図18の2つの矢印(↑)のいずれかがMeckel憩室であろう.病理:Meckel’s diverticulum,no gastric mucosa.
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