文献考察:腹直筋血腫本邦報告142例の検討(表) 腹直筋血腫の1例および本邦報告142例の検討
Author:豊田泰弘(神戸大学 大学院医学研究科環境応答医学講座災害・救急医学), 川嶋隆久, 石井昇, 宮崎大, 岡田直己, 高橋晃, 中村雅彦, 大森裕
Source:救急医学(0385-8162)29巻5号 Page622-625(2005.05)
Abstract:42歳女.腹筋運動をしていたところ,急激に左下腹部に疼痛を伴う腫瘤が出現した.左下腹部に径約6cmの腫瘤を認めた.腫瘤は正中線を越えず,その部分に一致して圧痛と反跳痛を認めた.腹部CTで左腹直筋内に56×40mmの凸レンズ状の腫瘤と腹水貯留を認めた.腹部超音波検査で腹直筋に連続して径約6cm,辺縁明瞭で内部構造の不均一な腫瘤と腹水貯留を認めた.腹筋運動を契機に発症した腹直筋血腫と診断し,安静と疼痛コントロールによる保存的治療を行うこととした.入院後,腹膜刺激症状は徐々に消退し,7日後にはほぼ消失した.症状,画像所見ともに軽快傾向にあることを確認し,引き続き療養のため発症8日後に転院となった.発症14日後に子宮頸癌のフォローアップも兼ねて腹部MRIを施行し,血腫と考えた.子宮頸癌の再発・転移を示唆する所見は得られなかった.
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