図1,図2と図3に胸水を認める(↑)以外に遊離ガス(▲は脂肪組織である)や腹水はなく,肝,胆道系に異常なく,膵炎の所見もなく,右腎とその周囲にも異常所見をみとめない.つまり胸膜炎(pleuritis)である.腹膜刺激症状があるため消化管穿孔の可能性が高いと判断され試験開腹が行われたが,腹腔内には異常所見を認めなかった.図Aが当日の胸部写真で図Bが翌日の胸部写真で右側に陰影増強を認め,胸水貯留が明白となった.胸水の培養は陰性であった.この症例のように胸膜炎,肺炎や心筋梗塞が上腹部痛で発症し,腹部所見も急性腹症の所見を呈することがあるのでご注意を! 腹部エコー検査またはCT検査で急性腹症の所見を認めず,胸水を認めたら2,3時間経過観察後再評価すべきである.
|