上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ22 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 109】

胃癌穿孔.Perforated gastric cancer






図1〜図3で遊離ガス(白矢印)を,図9〜図12で胃周囲に腹水(※)を認めるので胃病変の穿孔を疑う.胃壁は図2〜図9で粘膜下浮腫を示し(▲),図4〜図8の↑は壁欠損像の可能性が高い.図4〜図9の胃前庭部(△)は,不整なやや強い造影効果を受ける壁肥厚を示し腫瘍性病変であり,胃癌の穿孔と診断する.図5〜図7のL は腫大したリンパ節であり悪性腫瘍をさらに裏付ける.手術・病理所見:リンパ節転移を伴う胃癌の穿孔(図A:↑が癌病変).







参考症例(5mmスライス,胃癌穿孔):56歳男性.7時間前の前日の夜に上腹部痛が出現し,早朝に上腹部痛が増強したため救急搬送された.体温:37.2℃,腹部全体が板状硬で,上腹部に著明な圧痛を認めた.
遊離ガスがあり(図1〜図4:白矢印),Morrison窩に腹水を認め(図11〜図14:※),胃壁が広範囲に粘膜下浮腫を示し(図1〜図13:▲),図5〜図10のガス像(↑)は潰瘍性病変の可能性が高く,胃潰瘍穿孔と診断した.手術で胃壁は全体的に浮腫を示し,胃体中部前壁に1cm大の穿孔を認め,亜全摘を施行した.病理:mucinous adenocarcinoma (図A:△) .CTで胃癌との診断はできない症例である.















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ3 【症例 EE 11,12】

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