上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ22 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 107】

十二指腸(球部)後壁潰瘍穿孔.Perforation of duodenal ulcer into omental bursa








図1〜図15で↑は網嚢(omental bursa,omental sac)内の遊離ガスで,胃,十二指腸または横行結腸の穿孔を意味する.胃と十二指腸(Du)に急性病変を示唆する浮腫性壁肥厚を認めないが,周囲脂肪組織の濃度上昇を伴っており,消化管穿孔であることは疑う余地がない.手術で網嚢内に血腫と炎症,十二指腸球部後壁に15mm大の潰瘍穿孔を認め単純閉鎖を施行した.6週間後網嚢内膿瘍で再手術を要したが,以後は順調に経過した.








参考症例(5mmスライス,Plain CT,十二指腸潰瘍網嚢内穿孔):55歳女性.12時間前に心窩部痛と嘔気が出現し,その後嘔吐が10回あり水分もとれないので来院した.体温:35.9℃,腹部全体に圧痛と反跳痛があるが筋性防御はない.経口的にガストログラフィンが投与されている.
経静脈的に造影されていないから分かりにくいが,図5〜図8の狭くなっている部位(▲)が幽門輪で,図6〜図11の△は胃前庭部と思われる.図8〜図15の↑は網嚢内の遊離ガスであり,造影剤の漏出を認めないが胃,十二指腸または横行結腸穿孔を示唆する.十二指腸潰瘍の後腹膜穿孔と判断し,保存的に治療し症状が日毎に改善した.13日目の内視鏡検査で十二指腸球部に潰瘍による変形,多発性の瘢痕(S2)を認めた.Du:十二指腸,J:上部空腸.
















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ1 【症例 EE 2】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ1 【症例 EE 4,5】

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