遊離ガスを認めないが,図16と図17の腹水(※)は,もし消化性潰瘍病変があれば穿孔を意味する.胃角部と前庭部に粘膜下浮腫を認めず胃には急性病変はなさそうである.図12の1から十二指腸を逆行性に頭側へ追跡すると図8の6と図9の7が十二指腸球部である.十二指腸内腔は図8と図9の白矢印だから,図10と図11の↑は十二指腸から突出した病変で,タッシェ(tache:複数の潰瘍廏痕があるとき,間の粘膜が外側に突出して見える)か,または潰瘍だが,その壁は粘膜下浮腫(図10〜図13 :▲)を伴っており,潰瘍と診断する.胃に病変はなさそうで,十二指腸球部の浮腫所見と腹膜刺激症状があることから十二指腸潰瘍穿孔と診断されたが,腹水が少量であるため保存的に治療し,翌日には症状が改善した.翌日の内視鏡検査で十二指腸球部に巨大潰瘍を認めた(図A:△).
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