上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ22 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 110】

胃潰瘍穿孔.Perforated gastric ulcer








図1〜図4で腹水(※)と遊離ガス(白矢印)があり,消化管穿孔の可能性が極めて高い.図7〜図13で胃壁の粘膜下浮腫(▲)を示し,図7〜図11の胃壁に囲まれたガス像↑は潰瘍性病変と思われ,図3〜図6の△は周囲に胃壁を認めず胃外のガスと解釈する.従って,胃角部から前庭部前壁に広がる大きな胃潰瘍の穿孔と診断する. Du:十二指腸.図Aが切除した胃で,↑が巨大な胃壁欠損部である.病理:胃潰瘍の穿孔,no malignancy.







参考症例(胃潰瘍穿通):42歳男性.5年前から胃潰瘍の治癒と再発を繰り返している.10日前上腹部痛とタール便があったが市販薬で改善した.当日再度上腹部痛とタール便があり,痛みが増強したので来院した.体温:37.8℃,左上腹部に圧痛がある.Hb:5.8g/dl.
遊離ガスや腹水は認めないから消化管穿孔はなさそう.図3から胃小弯側の,粘膜下浮腫による壁肥厚が始まり(▲),図11では胃体部前壁まで広がる.図5〜図10の↑は肝下面に穿通した巨大潰瘍であり,図Aの内視鏡検査でその穿通性巨大潰瘍(△)から肝下面が直視された(△).内科的治療に反応しないため胃切除術を施行した(図B:白矢印が壁全層が欠損した潰瘍).病理:良性潰瘍.














  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ2 【症例 EE 8,9】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ3 【症例 EE 13】
3. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ3 【症例 EE 15】

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