上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ22 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 106】

胃潰瘍穿孔.Perforated gastric ulcer




図1〜図4で大量の遊離ガス(白矢印)と少量の腹水(※)があり,消化管穿孔を強く示唆する.主訴が上腹部痛であれば胃か十二指腸穿孔の可能性が高いので胃と十二指腸に急性病変がないか検索すべきである.図2から胃小弯側に粘膜下浮腫による壁肥厚が始まり,図11の胃体下部まで広がる.図5〜図8の↑は粘膜下浮腫により肥厚した壁内の欠損像であり,すなわち急性胃潰瘍穿孔との診断となる.手術で胃体上部前壁小弯に2cm大の潰瘍穿孔を認め(図A:△),胃全摘術を行った.病理:benign gastric ulcer with perforation.








参考症例(5mmスライス,胃潰瘍穿孔):37歳男性.既往歴:高校生の頃十二指腸潰瘍で数ヶ月間治療した.1週間前から心窩部痛があったが,当日の8時間前に痛みが急に増強し,軽快しないため来院した.体温:38.7℃,上腹部に圧痛があり板状硬である.
遊離ガスがあり(白矢印),粘膜下浮腫による壁肥厚があり(▲),↑が胃の潰瘍性病変である.図Aのガストログラフィン造影で胃潰瘍(↑)と,遊離腹腔内への造影剤の漏出(△)を認め手術となった.手術および病理所見:良性潰瘍穿孔(図A:↑).












  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ1 【症例 ER 1,2】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ1 【症例 ER 4,5】

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