上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ21 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 102】

胃潰瘍穿孔・胃壁内ガス・門脈内ガス.perforated gastric ulcer・gastric emphysema・intrahepatic portal vein gas








1)肝臓周囲(図1〜図4:※)とMorison窩(図7と図8:※)に腹水があり,さらに遊離ガスがある(白矢印).2)肝臓内のガス像は辺縁から2cm以内まで達する位置にあり門脈内ガスである.3)ニボーを形成しない,胃壁に沿って存在する線状のガスは壁内気腫である(図4〜図6,図11〜図16:△).4)図4から胃小弯部の浮腫性壁肥厚が始まり(▲),図8〜図12の↑は潰瘍性病変であり,膵臓へ穿通している可能性が高い.従って診断は胃壁内ガスと門脈内ガスを伴う胃潰瘍穿孔である.手術で胃角部後壁潰瘍の膵への穿通と穿孔を認め胃切を行った.病理:benign gastric ulcer,penetrated and perforated.








参考症例(HSE局注後胃壁壊死・穿孔):73歳男性.吐血で来院し,内視鏡検査で胃前庭部小弯側に出血性潰瘍を認め,HSE(高張生食水+エピネフリン:Hypertonic Saline+Epinephrine)局注で止血した.2日後上腹部痛を訴えたのでCT検査を行った.
図1〜図4で遊離ガスを認め(↑),胃穿孔を示唆する.図3〜図11の▲病変は胃潰瘍の部位と一致するが,単なる粘膜下浮腫と違い,浮腫の外側に造影されて描出されるべき筋層を認めない.すなわち胃壁の壊死を示している.手術で胃小弯が黒色化し完全に壊死に陥り,その中心部で穿孔していた(図A:△が潰瘍周辺部の壊死と白矢印が穿孔部).












  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ2 【症例 ER 9】

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