図1で上行結腸(A)は明らかに拡張し,下行結腸(D)は拡張とは言えないが液状の内容物は異常であるので,図2の1から肛門側へ追跡すると,図4の3と図5の4あたりから内腔が狭くなり,図8の7で完全閉塞する.閉塞部位は造影効果が弱く,図16のS状結腸(S)まで連続性の長い病変で,癌のような腫瘍性病変ではない.図7と図8で憩室を数個認め(↑),図6と図7の▲はニボーを形成し,小さい膿瘍の可能性がある.下行結腸憩室炎の既往があるのでそれによる閉塞と診断する.図1〜図11の△は壁内気腫だから猶予なく何らかの減圧法を考慮すべきである.大腸ファイバーで減圧を試みたが成功せず,腹部はさらに緊満したので緊急手術を施行した.下行結腸肛門側とS状結腸は狭窄し,後腹膜への癒着が強く尿管の確認が不可能であったので横行結腸に人工肛門を造設し,3週間後左側病変を切除した.病理:diverticulitis with abscess formation.
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