上段で胆石があるが,胆嚢の腫大,壁肥厚や周囲脂肪組織の濃度上昇を認めず急性胆嚢炎ではないし,胆石が腹痛の原因とは考えにくい.肝臓は萎縮しており,辺縁がやや不整で肝硬変の可能性がある.胃と十二指腸(Du)に急性病変を示唆するような粘膜下浮腫による壁肥厚を認めない.下段の図13〜図17の空腸(△)は壁肥厚を示している可能性があるが,周囲小腸の拡張は麻痺性イレウスを示唆する.右下腹部に注目すると, 図17〜図20のsbは一連の小腸だから盲腸(C)は図19までで,図15から分枝するTIが回腸末端で頭側へ上行する.図18に虫垂根部の糞石(1)があり,図15の4までが腫大した虫垂である.図16で▲のガス像は図15の4の虫垂内ガス像と重なるので腸管外ガスではないが,白矢印は腸管外遊離ガスの可能性が高い.虫垂壁の造影効果は弱く,図16〜図18で広範囲の蜂窩織炎(phlegmon:↑)は壊死性虫垂炎と穿孔を示唆する.次第に腹部全体痛となり,2日後には腹部全体に腹膜刺激症状を認め手術となった.遊離腹腔内に膿性腹水があり,虫垂炎穿孔と腹膜炎を認めた.病理:壊死性虫垂炎(図A).壁の断裂・穿孔を認める.
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