上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ21 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 102】

急性虫垂炎.Acute appendicitis.








図9〜図16は省略.図2〜図8で膵臓(T:尾部,B:体部,H:頭部)に腫大はなく,膵実質は不均一性を示さず,周囲脂肪組織の濃度上昇や液貯留を認めないので急性膵炎の可能性は極めて低い(急性膵炎で初診時には全く異常を示さない例がまれにあることはある).上腹部痛の鑑別診断に急性虫垂炎の可能性をおろそかにせず必ず右下腹部を検索すべきである.右側結腸(A:上行結腸,C:盲腸)は図21までで,回腸末端(TI)は図19から始まる.図21の糞石(↑)に気づけば図21の1が虫垂根部で,図22の2が1cm程度に腫大した虫垂であることが認識できる.壁の造影効果を認めないから壊死性虫垂炎の可能性を考慮する.手術・病理所見:acute gangrenous appendicitis.







参考症例(5mmスライス,急性虫垂炎):19歳女性.夕食後から上腹部痛と嘔吐が出現し,早朝になっても改善しないので来院した.体温:36.8℃,心窩部と右下腹部に圧痛があるが反跳痛や筋性防御はない.
回腸末端(TI)は図6から始まり,頭側へ進展する.図11の1が虫垂根部で,図2の10で盲端になる.壁が強く造影され,1cm以上に腫大し,周囲脂肪組織の濃度上昇はないが急性虫垂炎である.手術・病理所見:acute phlegmonous appendicitis(図A).













  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ1 【症例 RE 1〜5】

 【 ←前の問題 】   【 次の問題→ 】  【 このシリーズの問題一覧に戻る 】 【 演習問題一覧に戻る 】