上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ21 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 101】

急性虫垂炎.Acute appendicitis








右側結腸(A:上行結腸,C:盲腸)は図13までで,回腸末端(TI)は図12から分枝する.図12の1が虫垂根部で,盲腸と上行結腸の背側を数字順に頭側へ上行し,先端(図3の10)は肝下面に達する.約1cm大に腫大し,壁は造影され,周囲脂肪組織の濃度上昇(▲)または腹膜の肥厚(△)を認め,典型的な急性虫垂炎の所見である.手術・病理所見:acute phlegmonous appendicitis.
急性虫垂炎の腹痛は上腹部痛から右下腹部に移行するのが特徴とされるが,上腹部痛を主訴に来院する例は決してまれではない.上腹部痛が主訴だからと上腹部だけのCT検査を行ったために診断が遅れた例を見ることがあるが,ヘリカルCT以降は撮影時間が短縮されたので,上腹部痛例でも虫垂炎を鑑別するため全腹部のCT検査を行うべきである.






参考症例(急性虫垂炎):11歳男児.前日から右上腹部痛,嘔吐と発熱が続いている.体温:38.3℃,右上腹部に圧痛がある.
図8と図9の,右側結腸の背側に存在する,糞石を含む管状構造物(↑)に気づけば診断は困難ではない.前後に追跡すれば,図12の1が虫垂根部で,頭側へ上行し,図3で肝下面に達し,そしてUターンし,図7の14で盲端になる.壁は強い造影効果を受け,1cm程度に腫大し(目盛りは図6の右縁),周囲脂肪組織の濃度上昇(▲)と腹膜の肥厚(△)を伴い,急性虫垂炎と診断できる.手術・病理所見(図A):acute gangrenous appendicitis.
















  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ1 【症例 RR 1〜5】

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