文献考察:Churg-Strauss症候群
【全身性疾患と消化管病変】 膠原病,免疫・アレルギー性疾患 Churg-Strauss症候群
Author:青柳邦彦(福岡大学 医学部 第3内科), 中村昌太郎, 山本智文, 森田勇, 瀬尾充, 松浦隆志
Source:胃と腸(0536-2180)38巻4号 Page567-572(2003.04)
Abstract:Churg-Strauss症候群は, 気管支喘息を主とするアレルギー性疾患の先行, 好酸球増多, そして血管炎症候群を3主徴とする. 血管炎による臨床所見として, 消化管病変, 多発性単神経炎, 皮膚病変などがみられる. 消化管病変は約半数で認め, 胃, 十二指腸, 小腸, 大腸に潰瘍, びらん, 浮腫を呈する. 潰瘍辺縁やびらんに強い発赤を認め, しばしば生検で好酸球浸潤を認める. 又, 時に血管炎を確認でき, 突然消化管穿孔を起こすこともあり, その場合は死亡率も高い. このように, 本症においては予後に影響しうる消化管病変にも留意すべきである. 追記:臨床的に3つの病期に分類される.1)前駆期:アレルギー性鼻炎, アトピー性疾患, 喘息を呈する時期. 気管支喘息は中心的症状で, 本症の発症よりも約数週間から数年先行し, しばしば重篤でステロイド治療を要する. 2)好酸球増加期:末梢血好酸球増加症に伴い, 肺や消化管を中心とした多臓器への好酸球の浸潤を認める. 3)血管炎期:全身性に小動脈の血管炎を認め, 臓器症状を呈する. 多発性単神経炎85%, 皮膚症状(紫斑, 皮下出血)57%, 消化器症状(腹痛, 下痢, 消化管出血)50%, 心症状(心不全, 梗塞, 急性心外膜炎)42%, 筋炎31%, 肺症状28%が多い. 多発性単神経炎は腓骨神経, 尺骨神経に好発する. 体重減少, 貧血, 発熱などの非特異的な全身的徴候を訴えることも多い. 表1に自験5例の臨床像を示す. 気管支喘息と多発性単神経炎は全例に認め, 60%は腹部症状を主訴としていた. 難治性血管炎分科会の診断基準は表2.
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