文献考察1):Schonlein-Henoch紫斑病
【全身性疾患と消化管病変】 膠原病,免疫・アレルギー性疾患 Schonlein-Henoch紫斑病
Author:大川清孝(大阪市立総合医療センター 消化器内科), 青松和揆, 大平美月, 山崎智朗, 追矢秀人, 中井隆志, 川崎靖子, 青木哲哉, 加島和俊, 倉井修, 木岡清英, 根引浩子, 岡博子, 吉岡克宣, 井上健
Source:胃と腸(0536-2180)38巻4号 Page559-565(2003.04)
Abstract:Schonlein-Henoch紫斑病は毛細血管〜細動脈の血管炎に起因し, 皮膚症状, 腹部症状, 関節症状, 腎障害を主な兆候とする疾患である. 腹部症状の頻度は高く, 特に腹痛が多い. 本症の内視鏡所見は多彩であり, 発赤, 紫斑様病変, 浮腫, びらん, 潰瘍などがみられる. この機序は血管炎により, 血管透過性の亢進による滲出・出血が起こり,発赤や紫斑様病変が生じ, 更に血管の障害が高度になると血栓が生じ虚血性変化が起こり, 浮腫, びらん, 潰瘍が生じると考えられる.十二指腸病変は第2部〜第4部に好発し, 多発する潰瘍性病変を来すことが多い. 胃や大腸では紫斑様の発赤斑が多くみられる. 追記:皮膚症状はほぼ100%にみられ,下腿前面, 大腿後面に左右対称性に出現する紫斑,紅斑であるが,点状出血様の場合もある. 関節症状は50〜60%に出現し, 疼痛, 腫脹がみられる. 腎障害は20〜60%にみられ, 腎不全まで進行すると種々の症状を呈する. 腎障害の程度は本症の予後を左右する.消化器症状は70〜80%に出現し,腹痛が最も多い. 悪心, 嘔吐, 下痢,下血など種々の症状がみられるが, 症例によって, 胃, 小腸, 大腸の病変の有無,程度が異なるためと考えられる. 症状の起こる機序は毛細血管の攣縮が起こり,その結果虚血が起こり腸管の浮腫や潰瘍が生じるためと考えられる.まれに腸管壊死,穿孔を起こすことがある.典型的な紫斑が先に出現する場合は診断に苦労することは少ないが,腹痛が皮膚症状に先行する場合も10〜20%に見られ,診断に難渋することがある.
文献考察2):Schonlein-Henoch紫斑病 臨床症状と合併症(表)
【術前診断困難ないわゆる特殊イレウスの診断と治療】 Schonlein-Henoch紫斑病によるイレウス
Author:田中水緒(東京大学 小児外科), 横森欣司
Source:小児外科(0385-6313)32巻12号 Page1304-1309(2000.12)
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