参考症例(Plain CT,閉鎖孔ヘルニア):90歳女性.腹部手術の既往はない.6時間前に上腹部痛が出現し,頻回の嘔吐が加わり来院した.熱はない.腹部は膨満しているが圧痛はなく,腸雑音が亢進している.
右鼠径ヘルニアを認める(図10〜図13:白矢印,尾側に下行するにつれて大腿動静脈から離れ中央部へ移行するので鼠径ヘルニアである.大腿ヘルニアは図13あたりでも大腿動静脈に近接する.)が,容易に環納される.図1で盲腸の拡張はなく小腸だけの拡張だから小腸閉塞である.腸閉塞を起こす鼠径ヘルニアは嵌頓した腸管の壁の浮腫や血腫を伴うから環納されない場合が多いので他の原因を検索すべきである.図13と図14の↑は閉鎖孔ヘルニアに嵌頓した腸管で,図10の1が閉塞部の小腸であり数字順に展開し,図9〜図11には虚脱した小腸を認める(▲).
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