上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ17 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 84】

横行結腸粘膜下脂肪腫・腸重積.Intussusception of transverse colon with submucosal lipoma



図8で上行結腸(A)は便が停滞している所見で,下行結腸(D)は虚脱しているので上行結腸を肛門側へ追跡する.図6〜図4で横行結腸が虚脱し,蛇腹をたたんだように壁肥厚した横行結腸(▲)内へ嵌入する(白矢印)所見を呈し,図4と図5の△は脂肪組織(腸間膜)であり,長軸方向に描出された腸重積である.原因病変は図3と図4の↑で,脂肪濃度を示しているので脂肪腫と診断する.図Aは注腸造影で,“蟹爪像”(△)を呈している.手術で横行結腸粘膜下脂肪腫による腸重積が確認された.






参考症例(盲腸癌・腸重積):76歳男性.前日に発症した,次第に増強する上腹部痛のため来院した.体温:37.1℃,臍周囲に圧痛を認めた.図8でやや高濃度の最外側の外筒,その内側でやや低濃度の中筒,真ん中で虚脱した内筒と血管を含む脂肪組織,すなわち腸間膜を認め典型的な腸重積の所見である.従って,図3〜図12の上行結腸(↑)は腸重積であり,図10と図11の白矢印が陥入部である.図4〜図7の▲が重積の誘因病変と思われるが,重積内では圧排による虚血や,出血を伴うことが多く本来の病変の形態とは違ってくるので正確な病変診断は困難なことも多い.盲腸癌(図B:△)による腸重積(図A)であった.
















  【参照症例】   1. その他(Miscellaneous)シリーズ3 【症例 MR 14】
2. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ7 【症例 RR 34】
3. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 7 【症例 LR 34】

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