文献考察:閉塞性大腸癌の特徴
【閉塞性大腸癌の治療】 閉塞性大腸癌のOver View
Author:橋爪正(青森市民病院 外科), 木村昭利, 宮本慶一, 小野裕明, 吉田淳, 西隆, 柴崎至, 遠藤正章
Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)25巻3号 Page495-498(2005.03) 閉塞性大腸癌の特徴:本邦における腸閉塞を伴う大腸癌の発生頻度は10%前後との報告が多いが, これらの用語の定義,解釈が報告者により若干異なるために1.5-23.8%と幅広く報告されている.人口の高齢化に伴い, 大腸癌にり患する患者数は明らかに増加している.一般に高齢者は右側結腸癌の比率が高く, 右側結腸癌は進行癌となるまで症状を発現しにくい.また,高齢者は症状を自覚しても早期に医療機関を受診することが少ないため発見が遅れやすい.1990年以前の報告と1990年以降の報告で, 腸閉塞を伴う症例の発生頻度に大きな差はなく, 閉塞性大腸癌の絶対数は今後も増加することが予測される.閉塞性大腸癌は管腔が広く血便などの症状で気付きやすい直腸に少なく, 腸管径が細く絞め付け(stricture)型に発育し, 便性が固形となる左側結腸が好発部位とされてきたが,癌占拠部位による差はないとする報告,右側結腸に多いとするものがある.一般に閉塞性大腸癌は非閉塞症例と比較して腫瘍径は大きく, 壁深達度は深く, リンパ管侵襲, 静脈侵襲あるいはリンパ節転移率が高いとされ, 臨床病期(stage)の進行したものが多い.右側癌で腹膜播種の頻度が高く,左側癌は血行性転移が多いとの報告がある.
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