図9〜図12で下行結腸(D)が液状内容物で拡張しているのでその肛門側へ追跡すると,図14で壁肥厚を示し(↑),図15〜図17で虚脱する(↑)が腫瘍性病変だと断言できる所見ではない.よく見ると下行結腸(D)は壁の造影効果を認めるが,右側結腸(A:上行結腸,C:盲腸)と横行結腸(T1とT2)の壁は造影効果が減弱しており,さらに図11〜図15の△は壁内気腫を示し,壊死または高度の虚血状態と解釈すべきである.来院時血圧は75/30mmHg,脈拍:120/分,図3と図4で(腎静脈が合流する直上の)IVCは極度に扁平化しており強い脱水による低血圧を呈している.拡張の程度(図13)は9cmほど(12cm以上が虚血・穿孔の可能性が高い)であるのに壊死または高度の虚血状態を呈している原因は強い脱水による非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI:Non-0cclusive Mesenteric Ischemia)と推測する.手術で下行結腸癌による閉塞を認め,癌病変より口側の全結腸と回腸末端が虚血状態を示し切除した.図Aで白矢印が癌部で,その口側は縦走潰瘍(▲)を主とした病変である.病理:moderately differentiated adenocarcinoma.口側結腸はischemic colitis compatible.
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