文献考察1):魚骨による十二指腸穿通,本邦集計10例(表1) 誤嚥魚骨の十二指腸穿通による腸間膜膿瘍の1例
Author:中澤哲(東京女子医科大学 第二外科), 瀬下明良, 小川真平, 板橋道朗, 城谷典保, 亀岡信悟
Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)23巻4号 Page643-647(2003.05)
Abstract:48歳男.臍周囲痛,発熱を主訴とした.4ヵ月来の腹痛を繰り返し,徐々に増強し発熱も加わり,体温39.5度,臍周囲に圧痛を有する固い腫瘤を触知した.超音波検査,CTで十二指腸水平脚に接し,内部に線状の石灰化様陰影を伴う腫瘤を認めた.病歴聴取で鯛を摂取したことが判明し,魚骨の十二指腸穿通による腸間膜膿瘍を強く疑い,手術を施行した.開腹時,腸間膜根部に鶏卵大の腫瘤を認め,頭側は十二指腸水平脚に接しており,超音波ガイド下に上腸間膜動静脈を避け,内腔より2cmの魚骨を摘出し,膿瘍を開放しドレナージした.術後全身状態は速やかに改善し,治癒した.検索し得た限りでは,魚骨による十二指腸穿孔・穿通の報告例は極めて少なく自験例を含め10例に過ぎなかった.
文献考察2):魚骨による十二指腸穿通,本邦集計13例(表2) CT検査により術前診断しえた魚骨による十二指腸穿通の1例
Author:文元雄一(日本生命済生会附属日生病院 外科), 井上善文, 吉川幸伸, 桂浩, 野村昌哉, 宗田滋夫
Source:手術(0037-4423)58巻7号 Page1217-1219(2004.06)
Abstract:70歳女性.患者は上部腹痛を主訴とした.入院時,心窩部から右季肋部に圧痛・反跳痛を認め,血液検査にて炎症マーカーの上昇がみられた.保存的治療にて経過観察を行ったところ,入院2日目の腹部CTで十二指腸水平脚に穿通する3cm長のV字型石灰像と後腹膜腔側のガス像を認めた.患者の食事歴から,魚骨による十二指腸穿通と診断し,緊急開腹術を行い,魚骨を摘出した.術後経過は良好であった.
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