中腹部の図9〜図12で下行結腸(D)の拡張はなく,上行結腸(A)は拡張しているので,その間の閉塞を疑い図9の上行結腸1から肛門側へ追跡すると図9あたりのDから次第に狭窄する.よく見るとその下行結腸はtarget sign(内腔,造影される粘膜,低濃度の粘膜下浮腫,最外側は造影される筋層)を呈しており,狭窄の原因は粘膜下浮腫である.さらに肛門側へ行くと,S状結腸に移行する図21からやや不整によく造影される壁肥厚がはじまり,図23と図24で完全閉塞を起こす病変がある(△).つまり閉塞性S状結腸癌があり,その口側は閉塞性大腸炎による粘膜下浮腫で壁肥厚し狭窄しているのである(参照).図11〜図15の,ニボーを形成しない線状ガス像(▲)は壁内気腫であり,壊死または高度の虚血状態を意味する場合が多く,緊急に何らかの方法で減圧すべきである.しかし,入院直後に排ガスと頻回の排便があり,腹部膨満と腹痛は自然に消失した.手術と病理所見:S状結腸癌.moderately differentiated adenocarcinoma.
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